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デバッグ描画

数値を読むだけでは調べにくいものがあります。バウンディングボックスが想定した位置にあるか、スプラインがどちらへ向かっているか、2 台目のカメラに実際に何が見えているか、といったものです。デバッグ描画を使うと、形状やテクスチャのプレビューを画面に表示して確認できます。

WireRenderer と TextureRenderer は 1 フレームだけ描画します。形状やプレビューの表示を継続したい場合は、update ハンドラーから毎フレーム描画してください。

WireRenderer​

WireRenderer はワイヤーフレームの形状を描画します。1 つ作成して保持しておきます。

import { Color, Vec3, WireRenderer } from 'playcanvas';

const wire = new WireRenderer(app);

app.on('update', (dt) => {
wire.color = Color.RED;
wire.sphere(new Vec3(0, 1, 0), 2);
});

状態はレンダラーが保持します​

呼び出しごとにオプションを渡すのではなく、形状が使用する状態をレンダラーが保持します。

プロパティ意味
color形状を描画する色です。アルファも反映されます。
layer描画先のレイヤーです。null の場合はイミディエイトレイヤーになります。
depthTest手前のジオメトリによって形状が隠されるかどうかです。
segments円 1 周を近似するラインセグメントの数です。
transformすべての頂点に適用される行列です。不要な場合は null です。

一度設定すれば、あとは好きなだけ描画できます。同じ状態で多数の形状を描画してもメモリ確保は発生しません。

wire.color = Color.GREEN;

for (const item of items) {
wire.sphere(item.getPosition(), item.radius);
}

2 組目の状態が必要なら、レンダラーをもう 1 つ作成するだけです。インスタンスは GPU リソースを持たず、レイヤーと深度テストの設定が同じインスタンスはまとめて描画されるため、複数使用しても追加のコストはありません。

const solid = new WireRenderer(app);

const xray = new WireRenderer(app);
xray.depthTest = false; // すべての手前に描画されます

transform は、形状のグループを別の空間で描画したいときに便利です。設定して描画すれば、すべての頂点が出力時に変換されます。

wire.transform = entity.getWorldTransform();
wire.boxMinMax(localMin, localMax); // エンティティの空間で描画されます
wire.transform = null;

形状​

wire.line(start, end);
wire.lines(positions, colors); // Vec3[] のペア、点ごとの Color[] は省略可
wire.linesPacked(positions, colors); // xyz / rgba を詰めた数値配列。最も高速な形式
wire.polyline(positions, colors); // 開いたストリップ
wire.loop(positions, colors); // 閉じたストリップ

wire.box(box); // BoundingBox または OrientedBox
wire.boxMinMax(min, max);
wire.sphere(center, radius);
wire.circle(center, normal, radius);
wire.cylinder(start, end, radius);
wire.capsule(start, end, radius);
wire.cone(apex, direction, angle, length);
wire.plane(center, normal, size);
wire.point(position, size);
wire.arrow(from, to);
wire.axes(matrix, size); // x, y, z をそれぞれ赤、緑、青で描画します
wire.frustum(source); // カメラ、またはビュープロジェクション行列
wire.light(lightComponent); // ライトの形状と範囲を、そのライト自身の色で描画します

ライン系の関数では colors は省略可能です。省略するとすべてにレンダラーの color が使用されます。点ごとに色を渡した場合は、各セグメントが両端の色の間で補間されます。

linesPacked は Vec3 や Color のインスタンスではなく数値の通常配列または Float32Array を受け取るため、大量のジオメトリを送るには最も低コストです。なお、配列の型を選ぶことよりも colors を省略することのほうが節約になります。単色であれば、頂点ごとに色を書き込む処理自体が不要になるためです。

カメラの可視化​

wire.frustum() はカメラが見ることのできる範囲を描画します。現在描画に使用されていないカメラに対しても機能し、こちらが本来の使いどころです。あるカメラを動かしながら、別のカメラを通してそれを眺めることができます。

wire.color = Color.YELLOW;
wire.frustum(observerEntity.camera);

Frustum#containsAabb と組み合わせると、カリングの様子を可視化できます。

const viewProjection = new Mat4().mul2(observer.camera.projectionMatrix, viewMatrix);
frustum.setFromMat4(viewProjection);

for (const meshInstance of meshInstances) {
const inside = frustum.containsAabb(meshInstance.aabb);
(inside ? greenWire : redWire).box(meshInstance.aabb);
}

plane についての注意​

平面内での正方形の回転は、渡された法線から導出されます。そしてこの導出をすべての方向にわたって連続にすることはできません。そのため法線をアニメーションさせると、導出が切り替わる方向を通過する際に正方形が飛んだように見えます。正方形を滑らかに回転させたい場合は、法線を固定して transform を動かしてください。

circle、cylinder、capsule、cone はリングが軸に対して対称なため、この影響を受けません。

TextureRenderer​

TextureRenderer は、デバッグ用にテクスチャを画面に表示します。1 つ作成し、表示したいプレビューを毎フレーム描画します。

import { TextureRenderer } from 'playcanvas';

const textures = new TextureRenderer(app);

app.on('update', () => {
textures.draw(texture, 0.7, 0.7, 0.25, 0.25);
});

draw の引数は、テクスチャ、左端、上端、幅、高さの順です。座標は描画するカメラのビューポートを基準とし、(0, 0) が左上、(1, 1) が右下です。幅や高さを 1 にすると、ビューポート全体に広がります。サイズを負にすると、指定した開始位置を基準にプレビューが反転します。

プレビューの設定​

layer と channels はそれ以降の描画呼び出しに適用されます。camera は、描画時にすべてのプレビューを表示するカメラを選択します。

プロパティ意味
layer描画先のレイヤーです。null の場合は、アプリケーションのデフォルトのデバッグ描画レイヤー(通常は Immediate)を使用します。
channelsr、g、b、a から選んだ 3 文字です。デフォルトの 'rgb' はデコードした色を表示し、単一チャンネル形式ではグレースケールを表示します。
cameraプレビューを描画する CameraComponent です。null(デフォルト)の場合は、描画先レイヤーを描画するすべてのカメラに表示します。

プレビューは不透明で、深度テストも深度の書き込みも行いません。後続の描画に隠されないよう、シーンとスカイボックスの後に描画されるレイヤーを使用してください。表示するカメラには、そのレイヤーを含める必要があります。textures.camera = camera.camera を設定すると、メインカメラなど 1 つのカメラだけにプレビューを表示し、反射への映り込みを防げます。null に戻すと、描画先レイヤーを描画するすべてのカメラに表示します。

レンダーターゲットをプレビューする場合、プレビュー対象のテクスチャが現在のレンダーターゲットのカラー、リゾルブ、または深度アタッチメントであれば、そのプレビューは自動的にスキップされます。これにより、CameraFrame やカスタムレンダーパスを使用する場合も、同じテクスチャの読み書きが同時に発生することを防ぎます。

レンダーターゲットのテクスチャには、WebGL2 と WebGPU で向きを揃えるため、レンダーターゲットに RENDERTARGET_ORIGIN_TOP を指定してください。

チャンネルの確認​

'rgb' では、テクスチャのカラーエンコーディングが自動的にデコードされます。単一チャンネル形式(R8、R16F、R32F)では、保存されたチャンネルをグレースケールで表示します。それ以外の指定では色のデコードを行わず、保存されたチャンネルの値を表示します。0 から 1 の値は、そのまま黒から白に対応します。たとえば、'rrr' は赤をグレースケールで表示し、'aaa' はアルファを表示し、'bgr' は赤と青を入れ替えます。アルファを確認する場合も、プレビュー自体は不透明です。

1 回の update 内で、同じテクスチャを複数の方法で表示できます。

textures.channels = 'rgb';
textures.draw(texture, 0.05, 0.05, 0.25, 0.25);
textures.channels = 'aaa';
textures.draw(texture, 0.35, 0.05, 0.25, 0.25);

チャンネルの指定は描画呼び出しごとに保持され、設定は変更するまで有効です。デコードした色に戻すには 'rgb' を設定してください。深度テクスチャと sceneDepth はチャンネルの指定を無視し、常にグレースケールで表示します。

シーン深度​

sceneDepth は、描画するカメラの深度を線形化し、遠クリップ距離で正規化して表示します。カメラで シーン深度のキャプチャ を有効にし、キャプチャの後にプレビューレイヤーを描画してください。

import { TextureRenderer } from 'playcanvas';

// camera はカメラコンポーネントを持つエンティティです。
camera.camera.requestSceneDepthMap(true);
const textures = new TextureRenderer(app);
textures.camera = camera.camera;

app.on('update', () => {
textures.sceneDepth(0.7, 0.7, 0.25, 0.25);
});

代わりに深度テクスチャを draw に渡した場合は、カメラに応じた線形化を行わず、生の深度値を表示します。

対応するテクスチャ​

  • 2D カラー: 正規化形式、浮動小数点形式、デバイスが対応する圧縮形式。デフォルトの 'rgb' は、リニア、sRGB、RGBM、RGBE、RGBP の色を自動的に処理します。
  • 2D 深度: PIXELFORMAT_DEPTH、PIXELFORMAT_DEPTH16、PIXELFORMAT_DEPTHSTENCIL。

テクスチャは、アプリケーションと同じグラフィックスデバイスに属している必要があります。キューブ、ボリューム、配列、整数形式、マルチサンプルのテクスチャには対応していません。

WebGL2 では、生の深度テクスチャの比較サンプリングを無効にする必要があります。また、生の深度テクスチャとフィルタリングできない浮動小数点テクスチャには、縮小・拡大の両方でニアレストフィルターが必要です。WebGPU では、フィルタリングや比較サンプラーの設定に関係なく、これらのテクスチャを表示できます。

クリーンアップ​

プレビューの描画要求を止めると、次のフレームから表示されなくなります。レンダラーが不要になったら textures.destroy() を呼び出してください。アプリケーションの破棄時にも、レンダラーのリソースは自動的に解放されます。渡したテクスチャの管理は呼び出し側が行い、レンダラーがそれらを破棄することはありません。

太いライン​

WireRenderer は 1 ピクセル幅のラインを描画します。デバッグ用のオーバーレイにはこれが適しています。描画されるシーンの一部となるライン、たとえば強調表示された経路、道路網、注釈などには、代わりに 太いライン を使用してください。スクリーンピクセル単位またはワールド単位の太さ、キャップ、ジョイン、破線、グラデーションに対応しており、イミディエイトではなく保持型です。ラインを一度追加すれば、削除するまで残ります。

パフォーマンスカウンター​

デバッグ描画は物事が どこにあるか を示します。それらにどれだけ時間がかかっているかを見るには、MiniStats を使用してください。

サンプル​

Texture Renderer
  • Wire Shapes — すべての形状をアニメーション付きで表示します
  • Frustum Culling — カメラの視錐台と、それに含まれるかどうかで色分けされたバウンディングボックス
  • Lines — ライン系関数のすべてを一度に使用します